たけくらべ

青空文庫で樋口一葉の「たけくらべ」の校正を申し込みました。
「たけくらべ」はすでに(旧字旧仮名、作品ID:389)と(新字旧仮名、作品ID:56041)のふたつの版が公開されていたのですが、
一葉が世に出るきっかけとなった文芸倶楽部版が校正待ちになっていたのです。

たけくらべは1895年(明治28年)1月から翌年の1月まで「文学界」に断続的に連載され、
それを清書したものが明治29年の4月に「文芸倶楽部」に一括して掲載されました。
この版は総ルビで、残された一葉の原稿にも美しいルビが振られています。

校正用の原稿の入力は元京都大学附属図書館長の万波通彦さん、
編集は青空文庫を世に送り出した呼びかけ人の富田倫生さんが担当してくださったものです。
富田さんの古いツイートが残されていました。

校正は全く未経験でしたが「たけくらべ」はとりわけ愛着のある作品なので
何とかなるのでは?と勢いで申し込んでしまいました。
初めての校正は変体仮名や底本の誤植の発見など予想に反して楽しいものとなりました。

「たけくらべ」の変体かな

げ、タイトル間違ってる

(注)タイトルの誤りは校正用に参照した大正十一年発行の縮刷版一葉全集(博文館)で、今回の底本ではありません。
底本の印字が鮮明でない箇所は国会図書館のデジタルライブラリや日本近代文学館の真筆版を参照しましたが、
旧字体の細部の判読にはこちらの版のお世話になりました。

原稿は校正を終え青空文庫で公開されました。、 
図書カード:No.55671「たけくらべ」

総ルビとは言っても、一葉の文章自体が句点「。」が少なく読点「、」で延々と続いていくケルアックのようなスタイルなのであまり助けになりません。
私も岩波文庫で何度かチャレンジしてそのたびに「無理。」と挫折しました。
その後、学研から出版された明治の古典シリーズの円地文子訳ではじめて内容を知ることができたのでした。
その後の松浦理英子さんの訳や川上未映子さんの現代語訳もすばらしいです。
「たけくらべ」は現代訳で読んでもせつなく悲しく美しいです。
現代語訳を読んでから原書に触れると一葉の文体のリズムの美しさが心に響きます。